アルスエレクトロニカと文化庁メディア芸術祭

2009年1月のアルス・エレクトロニカ・センター(以下AEC)リニューアルで
展示のかなりの割合が、日本の技術、作品紹介となっている。
日本人の僕からすれば、見慣れたものも多くちょっと物足りない気がしてしまう
のは、
文化庁のメディア芸術祭と同じ感覚であるように思う。

しかし、AECはオーストリアにある。
更にオーストリアの中でも若干地方都市とも言えるリンツにある。
リンツという街では、それらの日本の技術は
決して日常的なものではないし、どこにでも置いてあるものでもない。

一方、文化庁メディア芸術祭の難しいところは、
多くが、ゲームショーなどの展示をはじめとする様々なショーで
観ることができたり、近くの本屋や家電量販店に行けば置いてあるものに
改めて賞が与えられている。
国の文化事業であるから仕方ないのかもしれないが、
文化としての価値や、それらを評価する目を肥やすという意味では、
もっともっと、世界中からさまざまなメディアアートを招待して、
それぞれの特色を見られるような、発見をもたらす芸術祭となって良いのではな
いかとも思う。
そうすることで、日本の作品のすばらしさが、更に分かると言うこともあると思う。

AECはメディアアートを文化として育てていこうという意識をすごく強く感じる。
博物館施設を持つことで、日常的に文化を育む努力をしている面もあり、
それは、ハードだけでなく、その中で来場者とどう関わるかという、
ソフト面でも様々な工夫があるように感じる。

芸術はそれを創る側と、それらを受け入れ評価する側とで成り立っている。

それは、特別な権威のある人々を意味するのではなく、
我々1人1人が1人1人の尺度で、
新しいアートの本質を知り、表現の質を楽しむ文化を
育てていくこと、育んでいくことで広がっていくのだと思う。

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