Ars Electronica Centerへ行こう その8 「アルスエレクトロニカセンターとは」

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そもそもアルス・エレクトロニカセンターとはどういったところか。改めて場所を確認すると、ウィーンとザルツブルグのちょうど中間点にある、オーストリア第3の都市、リンツにある。2002年にリンツを訪れたときは「地球の歩き方」にリンツは紹介されておらず、唯一1冊だけ掲載されていたガイドブックを頼りにアルスエレクトロニカを訪れたが、今では「地球の歩き方」にも掲載され、アルスエレクトロニカセンターは日本人向けの観光スポットとしても紹介されるようになった。といっても日本ではまだまだなじみは薄く、恐らくメディアアート系ではシーグラフの方がよく知られた存在なのではないかと思う。

アルス・エレクトロニカは「インターナショナルブルックナー・フェスティバル」の一環として1979年に始まったメディアアート、デジタルアート会で最も権威ある言われるフェスティバルだ。メディアアートに革新をもたらした者を表彰する、最も栄誉ある賞「ゴールデン・ニカ賞」は「コンピューター会のオスカー」とも呼ばれ、世界中のメディアアート関係者の憧れとなっている。というか、ずっと昔にアルスエレクトロニカのことを聞き、いつか自分もその場所で展示をしてみたいと思っていた。アルスエレクトロニカは日本との繋がりも深く、これまでの受賞者には、明和電機(2003年)、池田亮司(2001年)、八谷和彦(1998年)、坂本龍一・岩井俊雄(1997年)など、日本人受賞者が多く存在する。こうした世界が注目するフェスティバルの拠点となっているのが、このアルスエレクトロニカ・センターだ。

そして、今回、2009年度にオーストリア・リンツ市が勤める欧州文化首都のオープニングに合わせて行われたリニューアルによって、アルスエレクトロニカ・センターのフロア面積が4000平米拡張され、これまでの約3倍にあたる合計約6500平米の規模へ拡大し、展示も全て新しい展示へと入れ替えれた。

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今回のリニューアルで地下に新設されたメインギャラリーの大空間には、BioLab(バイオラボ)、FabLab(ファブ李ケーションラボ)、BrainLab(ブレインラボ)、RoboLab(ロボラボ)の4つのセクションが設けられ、人体に関する研究や、ロボット、バイオ技術、3Dプリンタを使った立体のプリント製造など、近未来の技術を具体的に体験できる作品として展示している。雰囲気としては、日本科学未来館とICCの機能を掛け合わせたような印象だ。

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低年齢層をターゲットとしてメインギャラリーのすぐ脇に設置されたFunkey Pixelは、デジタルが当たり前になった今の子供達に対して、人間とマシン、リアルとバーチャルの新しい関係性を提案することを目的としているとのことで、ゲームのプラットフォームを用いた作品、直感的で身体的な作品など、子供たちが説明無しでも理解できるような作品が集められている。

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なんといっても、今回の目玉は昨年のPrix ARS Electoronica インタラクティブアート部門の受賞作品「quartet」の実物が置かれていること。写真では良くわからないのでムービーを見た方が話しは速いのだが、アクロバティックにボールが飛び交う様子はとてもわくわくする感じで、ずっと見ていても飽きない。そして規模の大きさにも圧倒される。

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今回は日本の作品も非常に多いが、これだけ多様な作品を一度に見ることは、日本でもなかなかできないのではないかと思う。牛込陽介さんのStructured creatureは、東大の制作展で見せていただいたときに、すごく良いなと思っていろいろお話を聞かせていただいたのを覚えているのだけど、こんな所で一緒に展示できるとは。

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最上階にはラウンジやカフェがあって、ドナウ川を一望できる。レントス美術館のイルミネーションもとても綺麗に見える絶景スポット。カフェはランチで2回ほど使ったけれど、ニョッキのようなオーストリア料理を美味しく頂戴した。

掲載した写真はほんの一部に過ぎない。とにかく、展示作品数が多く、とても1日では見て回れないほど、科学技術とアートを存分に堪能できる。スタッフも非常にフレンドリーな感じで、一生懸命説明する様子が各所で見られた。そうした人と人が積極的に関わる雰囲気がアルスエレクトロニカの魅力でもあるように感じる。世界の中心で有り続ける理由もそうしたところに秘密があるのかもしれない。

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