Ars Electronica Centerへ行こう その11 「Gardenのはなし」

AEC_Garden1 by you.

今回のアルスエレクトロニカ・センター リニューアルオープンで、非常に印象に残ったことの一つは、お客さんの反応。Gardenを展示したスペースは子供向けのスペースだったこともあって、沢山の家族の様子を見ることができたのだが、他人同士の子供がトラブルになると、ちゃんとその親が子供しかるとか、そして、それを周りの親もちゃんとみているとか、当たり前のことなのだけど最近日本ではあまり感じられない、家族としてのコミュニケーション、コミュニティーとしてのコミュニケーションが感じられる場面が多々あったのは印象的だった。

そんな中、一番印象に残ったのは、ある親子の様子。まだ立つのもやっとの子供とお母さんがGardenのところにやってきた。ちょうどタイミング良くすいていたので、子供は花壇の縁にちょこんと座って様子をうかがっている。お母さんは、子供に話しかけながらGardenの遊び方をやってみせるのだけど、その子は意味が分からないのか、なんとなくちょっと怖いのか、なかなか紙吹雪に手を出そうとしない。それでも、そのお母さんは無理をすることもなく、ゆっくりゆっくり子供の様子を見ながら紙吹雪を投げて見せてあげる。ぜんぜん焦る様子もないし、せかす感じもなく、にこやかに繰り返すうちに、だんだんその子の緊張が解けてきて、少しずつ紙吹雪に触れてみるようになった。最後には全てを理解した様子で、奇声を上げて紙吹雪を舞い上げるようになった。

このゆっくりとしたアプローチがとても素敵だったし、言葉もまだはなせない小さな子供が、少しずつ作品を理解し、それを楽しんでいく過程が見れたことは、とても幸福な瞬間だった。いろいろ大変だったけれど、ここに来た意味があったと、一番強く実感した瞬間だったように思う。

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