マンガとインタラクティブアート

だいぶ前にやっていた、マンガ家の浦沢直樹氏が出演したトーク番組を見た。
その中で、マンガでは読者の時間の流れを作者がコントロールすることが出来
ない、だからここで一拍置くとかそういうサインをマンガに籠めているという
話があった。

映画や音楽は始まりがあり終わりがあって、鑑賞者は作者もしくは演奏者の意
図した時間軸を予定通りに共有することが出来る。作者はその時間軸を自由に
操ることで鑑賞者を誘導し共感へと導く。
その一方でマンガは読者がマンガを読むスピードを作者はコントロールするこ
とは出来ない。そこで浦沢氏は、無言のコマを入れる等して「間」を作品に籠
めるのだそうだ。

時間軸のコントロールを鑑賞者に委ねているという点はインタラクティブアー
トにも共通する部分がある。そしてインタラクティブアートでは、より積極的
に様々な方法で「間」が作品に籠められているように思う。どういう行動に出
るか予測不可能な観客の行動を酌み、どういった間を持ちながらインタラクテ
ィブな関係を構築して行くのか。どういった間を作品に籠めて行くのか。
正確に言えば、インタラクティブアートの場合、鑑賞者の時間軸をコントロー
ルすることもしないことも可能であり、だからこそ、そのバランスもまた重要
であるように思う。
鑑賞者の時間をどのように扱うか、これはなかなか難しい課題であるとも思う。

asanoLab Press

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